本読み

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『英語化は愚民化』

 

英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書)

英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書)

 

著者は、日本の英語教育の方向性に疑問を投げかけています。日本で英語化が進むと、日本語は疎かになり、国民意識は薄れ、英語が出来る人とそうでない人との格差は広がり、今のような豊かさを享受できなくなるといいます。

翻訳は、中世ヨーロッパと日本が近代化を果たす過程で大きな役割を果たしました。一部の特権階級だけが使っていた言語を庶民が使う言葉に翻訳したことで、庶民の知識は増え、知的活動を行えるようになり、近代的な民主社会の基礎を作ることが出来たのです。宗教改革はその近代化のきっかけとなった大きな出来事でした。

明治時代にも英語公用語化論というものがあったのですが、当時の日本は翻訳によって日本語を豊かにするという道を選び成功しました。明治時代のエリートが今の我々の使っている日本語を作り上げたことと、21世紀において自然科学の分野でノーベル賞を多く輩出しているのには関係があるのです。そして21世紀の今日、再び同じ岐路に立たされています。一度目は成功しましたが、2度目は間違った道に進んでしまうのではないかと著者は危惧しています。

グローバル化は時代の流れでボーダーレス化は必然というのは無理筋だと著者は主張します。近代化とは、それぞれの国の国民が言語のハンデを感じずに政治、社会、経済活動に参加出来ることだからです。それを阻むような英語化は、近代化どころか中世化にさえなりうるといいます。

本書を読むと、日本の英語教育は間違った方向に進んでいるようで心配になります。日本語で高等教育を受けられることや各国の名著を読むことができるのはすごいことだったのです。