本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『赦す人』

 

赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)

赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)

 

本書は大崎善生による団鬼六の評伝である。団鬼六は、日本のSM作家の草分け的存在である。徹底した快楽主義である。自分がやりたいことは、次から次へと手をだす。破天荒であり、豪快である。

その破天荒さは、親譲りである。団の父親もまた、無茶苦茶な人であった。真面目に生きても仕方がないことを団に何度も言い聞かせた人だ。そんな父親を蔑視していた団だったが、自分もだんだんと父親のように振舞うようになる。

教師と作家を兼任していた団は、生徒が自習をしている中で、自分は小説を書いていたという。勃起させながらである。

自分のプロダクションに雇われようとする青年には、団の前でセックスすることを要求する。無茶苦茶である。そしてその青年もOKするのだから、ますます無茶苦茶だ。

そんな団は、自分を興奮させるために小説を書いている。しかし、性欲がなくなってくると創作意欲もなくなっていき、ついには絶筆する。性欲と創作意欲には相関関係があるのだ。ところが嘘みたいな話だが、バイアグラが発売されると、団は再びペンをも握りはじめるのだ。なんという相関関係であろう。

このように無茶苦茶なのだが、団の人生は挫折と復活の繰り返しである。借金を繰り返したり、書くのを諦めたりするのだが、その度に復活をする。そして、根本にあるのは、人生を楽しみたい、味わいたいという強い気持ちだ。自分も馬鹿なことをするが、他人の馬鹿をも赦す度量がある。恐らく他人を憎むことはつまらないことで、団には興味のないことだったのかもしれない。まさに赦す人だ。