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本読みのはしくれ

本の感想や書評、本の案内ブログです。このブログは1980年生まれの男によって書かれています(受動態)。

『島へ免許を取りに行く』

ノンフィクション

 

島へ免許を取りに行く (集英社文庫(日本))

島へ免許を取りに行く (集英社文庫(日本))

 

以前も言ったように、著者は僕の好きな作家のうちの1人。

人間関係に疲れ何かリフレッシュをしたいと思った著者は、運転免許を取りにいくことを決意する。この時、著者は40を過ぎている。免許取得には、遅咲きと言えよう。本書は、その免許を取りにいく決意から取り終えて都内で路上を運転するまでの様子を記したものである。

合宿で免許を取ることにした著者が選んだ場所は、長崎の五島列島にある福江島の自動車学校。つまり、島である。自分の好きなところで免許を取りたいという理由から、この場所は選ばれた。バカンス気分で楽しそうであり、家の近くで免許を取得した自分が間違いに思えてくるから不思議だ。

のんびりとした島において、著者は旅行者気分で満喫する。 楽しめないのは自分の責任ととらえる著者の姿勢は見習いたいものだ。著者はこういう。

私が旅の信条としていることだが、世界のどこにもおもしろくない場所など存在しない。自分が行き先に選んだ場所をおもしろがれないとしたら、それは楽しむ努力が足りない自分の責任なのだ。

人に対する好奇心も旺盛だ。人間関係に疲れていたとはとても思えない。教習所に通う生徒や多くの教官とも積極的にコミニュケーションを計る。内気な子にも積極的に話かける姿は魅力的で、著者の人のよさが表れている。もはやコミュ障を指導する側だろう。

運転が苦手な著者の奮闘ぶりも楽しい。運転に対しては真剣そのものだ。教官や生徒にも質問し、果てはイメージトレーニングまで敢行する。教習所に通っている運転が苦手な人が読めば、励まされると思う。

また著者のおかげで島の様子も伺うことができる。島での生活の単調さや島の人たちがどういう気持ちでどんな生活をしてるのかを知ることが出来る。島で生活を始める前には、是非読みたい一冊だ。

あまりにも濃密に人間関係が描かれているので、長い間、島にいたかのような印象を持つが、実際に滞在したのはひと月ほどある。それにも関わらず、この濃い内容。やはり、自分が教習所に通ったのは間違いだったように思う。この本だけではなく、免許は合宿で取ることをお勧めしたい。それも島がいい。