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本読みのはしくれ

本の感想や書評、本の案内ブログです。このブログは1980年生まれの男によって書かれています(受動態)。

『ゲーテとの対話』

文学・評論の本

 

ゲーテとの対話(全3冊セット) (岩波文庫)

ゲーテとの対話(全3冊セット) (岩波文庫)

 

ゲーテは、度々その言葉が引用される作家です。きっと、いいことを言っているのでしょうね。と、まるで人ごとなのは、ゲーテが書いたものをほとんど読んだことがないからです。

本書はゲーテが書いたものではありませんが、主役はゲーテです。ゲーテと親しかったエッカーマンが老年期の彼との会話を本書で再現しています。ゲーテの家に呼ばれての会話が中心です。対象は幅広いです。文学の話はもちろん、音楽や美術の話、哲学、果ては科学の話にまで及びます。二人ともお互いを尊敬しあっているのがよくわかります。

その会話の中のゲーテの言葉が、時に鋭く印象に残ります。さすがに多く引用されるだけのことはあります。早速引用してみましょう。

いろいろ研究してみたところで、結局実際に応用したものしか、頭にのこらないからな。

そうそうと思わずつぶやきたくなるような言葉です。実践で使ってこその知識ということでしょう。

さらには、

「結局、最も偉大な技術とは、自分を限定し、他から隔離するものをいうのだ。」

関心の対象を広げすぎるのはいけないといいます。こういっておきながら、博学なのだから嫌になります。

また、

人を楽しませることができるのは、その人が楽しいときだけだろう

主観の役割は大きいということです。

他にも含蓄に富む言葉が多く見られます。本書の解説によれば、ニーチェは本書から大きな影響を受け、本書をドイツの中で最良の書だと言ったそうです。