読書記録(書評・感想)ブログ

本の感想や書評、粗筋、引用を自由に書く読書記録。1980年生まれ。

『謎の独立国家ソマリランド』

 

謎の独立国家ソマリランド

謎の独立国家ソマリランド

 

著者の最新刊だ。ソマリランドなんて知らないという人も、ソマリアならば知っているはず。そのソマリア内の北部にあるのが、ソマリランドだ。なじみがないのは、ソマリランドが勝手に国家と自称しているだけで、国際社会からは認められていないからだ。著者は、このソマリランドを「ラピュタ」にたとえる。日本人なら分かるたとえだが、本書を英訳した時には「ラビュタ」に注をつける必要がありそうだ。

ソマリアという国は大きく3つの地域に分かれていて、その一つがソマリランドである。どうしてこのように3つに分かれているのかを知るには、歴史的経緯を理解する必要がある。著者は自ら取材をし、それを咀嚼し、読者に説明をしていく。歴史の勉強そのものだ。

またソマリアでは氏族が大きな役割を果たしていて、ソマリアという国を理解するにはこの氏族の理解もかかせない。普段のニュースでは、この氏族のことは省かれて報道されているのだと言う。それを著者は読者にも理解してもらおうと、平氏や源氏や北条氏などに例えて説明する。日本人なら分かるたとえだが、本書を英訳した時には注をつける必要がありそうだ。

3つある地域の中でも、ソマリランドは安全なのであるが、 他の地域は危険である。一つは、海賊が蔓延っている地域で、もう一方はアル・シャバーブというイスラムの過激派が蔓延っているのだ。ソマリランドだけでソマリアを語ってはいけないと考えた著者は、この危険な地域にも取材へ行く。著者は無茶するタイプだ。

海賊なんかに捕まるなよと思っていたら、全くの杞憂だった。むしろ著者は海賊側の人間になろうとするのだ。思うべきは、「海賊になんかなるなよ」であった。やはり、無茶するタイプだ。だからこそ、面白い。

氏族関係や歴史的説明は、難しいけれど、それを飛ばしても本書は楽しめる。 ソマリアという国がどういうところであるのかが見えてくるのは楽しいし、ソマリア人がどういった人たちなのかも分かるのも楽しい。本書で旅した気分が味わえるのだ。それもスリル満点の旅だ。