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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米チャンピオンになれた理由』

 

ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由

ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由

  • 作者: ジョシュア・フォア,梶浦真美
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2011/07/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 29人 クリック: 1,964回
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どうやったら劇的に記憶力がよくなるのかと興味があった。あわよくば記憶力をこっそりと改善してしまおうとすら思った。しかし、がっかりだ。著者がチャンピョンになるために使った技は、古くからある記憶術である。覚えようとするものを視覚映像に変換するという方法だ。多くの記憶術はこの方法が元になっていて、その起源は紀元前にまで遡ることができる。今さら大騒ぎをするようなテクニックではないのだ。

聞いたことあるぞそれ、という感じ。しかし、著者がすごいのは、それをものにしてしまうところである。ならば本書を参考にその記憶術を使えそうかというと、そうでもない。だから、がっかりしたのだ。

そうかと言って、本書にまでがっかりしたわけではない。本書は素晴らしい。アメリカでの売上はチャンピョン級だ。ビルゲイツも書評を書いている。

記憶力の改善を期待して読んだら、自己啓発されてしまった感じの本である。記憶に関心をもった著者らしく、記憶に関する説がたくさん紹介されている。また、記憶の達人がどのように記憶をしているのかにまで踏み込んでいる。そうした中で何度もなるほどなと思うことがあった。

例えば、時間は単調さによって縮まり、新鮮さによって拡張するという。単調な毎日を送ると、時間はゆっくりと過ぎていく。充実した日々を送りたければ、日常生活のパターンを変えてみたり、普段は行かない場所に旅行をしたり、出来るだけ新しい経験をしたりするのがいいのだ。

また、この情報化社会に記憶力なんて必要ないと思うかもしれないが、やはり記憶は必要である。必要どころか、積極的に推進すべきものとすら思える。覚えたことがその人の人格形成を後押しするのである。シェークスピアの詩を覚えていたら、周りをうんざりさせるほど引用しまくるだろう。

さらに、覚えたことを組み合わせることで創造性は生まれてくる。モーツアルトでさえ以前の曲をアレンジしているというのはよく聞く話である。はじめに、「記憶ありき」なのだ。記憶と創造性は、切り離すことができないのだ。

著者のハードワークをする姿勢も参考になる。結局、著者は全米記憶力チャンピョンになるのだが、「君ほど没頭して取り組む人はそうはいない。君のチャレンジ精神は飛びぬけている。」と言われるほどのハードワーカーなのだ。全米チャンピョンになれたのは、記憶術を覚えたことと著者の努力のおかげと言えそうだ。