読書記録

本の感想や書評、粗筋、引用などの読書記録。1980年生まれ。

『東京百景』

 

東京百景 (ヨシモトブックス)

東京百景 (ヨシモトブックス)

 

 

お笑い芸人の又吉のエッセイである。東京にある100の思い出の場所を綴ったものである。これだけの数が思い出の場所となっているのが、そもそも凄い。東京に住まない人にとっては場所のイメージが沸きにくいかもしれないが、問題なく楽しめる。読めば笑える本だから。書名は、太宰の『東京八景』を意識したとのことだ。太宰同様、自意識は過剰で、あるのは罪の意識である。

自虐的に笑わせてくれる箇所が多い中でも最高なのは、原宿編だ。

うざったい洋服屋の店員の話は特に面白い。

又吉に次のセリフを言うのである。

「男前がいると思ったら、やっぱり兄さんですか」

世の中には嫌味な人がいますね。

このチャラい感じ。嫌ですねえ。

続くお笑い好きのコンビニ店長からでさえもバイトに採用されなかった話もいい。事実を単に描写するだけではなく、それを自分の視線で形容を付け加えて面白いものにする。センスを感じる。

「俺、お笑い大好きなんだよ」という圧倒的有利な言葉から始まった面接で僕は見事に落ちたのだ。以来、僕は原宿に敗北し続けている。