読書記録

本の感想や書評、粗筋、引用などの読書記録。1980年生まれ。

『正しい本の読み方』

 

正しい本の読み方 (講談社現代新書)

正しい本の読み方 (講談社現代新書)

 

本書は、本格的な本の読み方の指南書です。本の読み方を学ぶことで書き手の思いを深く想像し、読むことをより一層楽しめるようになることが本書の趣旨です。と同時に、本を読む厳しさをも伝えています。

どういった本を読むべきかや、どのように読むのかが具体的に説明されています。本には隠れた前提が存在し、それを見つけるのも一つの読み方だとありました。この「前提」は価値観とも言い変えられ、根拠のないものです。根拠があれば、前提ではなくなってしまうからです。この「前提」は議論においても存在し、相手の前提を見つけることで妥協点も探し易くなるそうです。このように議論の役に立つことも本書には書かれています。

また、どう読むかだけではなく、どう学問をするのかに関しても大きくページが割かれていて、とりわけ、中高生には有益な内容となっています。試験のためだけに何かを覚えるのは無駄で、どうせ覚えるのならば一生覚えているつもりで覚えろという指摘は、これ以上ない程に同感でした。

当然、本を読むことのメリットがいくつも語られています。端的に言うと、生活の質が上がるということです。正しい決定がし易くなります。最善の決定の助けになるものが本のどこかに書いてある可能性が高いからです。また、偉人達を自分の頭に住ませることができ、頭の中がにぎやかになるとも表現されていました。さらに、社会の不都合を自分で分析し、その解決法を見つけることで、自分の人生の主人公になれるともありました。

この世界の不完全さを学問では取り払うことができないのですが、本を読むことでこの世界が不完全であることと、その理由を理解することができると言います。民主主義は決定の質が独裁性よりも優れている訳ではなく、結果の責任を引き受けることができる点で勝っているに過ぎないという指摘は、学ぶこと(読むこと)の重要性を鋭く指摘していて、それは全ての人に必要なものだという思いを新たにしてくれました。 

本を読むことは、人類の文化に水をやり、肥料をやって、樹木を大きく育てることになるのだ。