読書記録(書評・感想)ブログ

本の感想や書評、粗筋、引用を自由に書く読書記録。1980年生まれ。

『進化とはなんだろうか』

 

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

 

本書によれば、「進化」とは、生き物が時間とともに変化していくことです。本書では、その進化がどうして起こるのかというメカニズムに迫っています。その中心となるのは適応と自然淘汰です。

自然淘汰は、適応を生み出すという目的をもって働いているのではないそうです。遺伝的な変異の中のあるものが、他のものよりも環境に適していると自然淘汰が働くのです。つまり、変異は環境とは無関係に生じてくるということです。遺伝子は周りの環境の状態を知らないとも言えます。

要するに、自然淘汰の結果としての適応は、その適応が起こるように目的を持って淘汰されたように見えるのですが、実際には自然淘汰の材料となる変異は、目的とは関係なく生じてくるそうです。どうしても都合の良い物語を作りたくなるのが人間ですが、科学はそれを認めないようです。

本書は岩波ジュニア新書であり、建前はジュニア向けですが、大人が読んでも十分な内容で、逆に言えば科学に関心がない子供には少し難しいかもしれません。前半にはDNAの情報からどのようにアミノ酸が作られ、タンパク質になるのかという高校の生物の内容も含まれていました。

それでも、生物の不思議にまつわる興味深い話も散りばめられていて、全体としてはバランスの良い本でした。例えば、自分が生んだ卵を自分では世話をしない鳥がいます。他の種の鳥の巣に卵を生み、その鳥に世話までさせてしまうのです。日本のホトトギスやツツドリなど世界の鳥の1%はこうした托卵を行うようです。

また、今だに分かっていないことに対する仮説も興味深いものでした。雄と雌が存在する理由では、雄と雌がそれぞれの遺伝子を出し合った方が、ウィルスなどへの対抗力が強くなるという有力な仮説が紹介されていました。

他にも、雄同士が、雌を巡り競う理由を繁殖に参加できる比率の違いに求めていることなどを知ると、仮に子育てに参加する雄が増えるとどうなるのかを自分で考え仮説まで作りそうになり、自分こそが進化してしまいそうでした。