読書記録(書評・感想)ブログ

本の感想や書評、粗筋、引用を自由に書く読書記録。1980年生まれ。

『起業家』

 

起業家 (幻冬舎文庫)

起業家 (幻冬舎文庫)

 

本棚にストックしてあった本であり、何気なく読み始めてみたら、面白くて一気に読み終えた。こうして前へ前へと読み進めることができるノンフィクションが、私は一番好きなのかもしれない。

メインストーリーは、サイバーエージェントが広告代理事業からメディア事業へと軸足を移していく過程である。ネット上での広告代理店としては優秀なサイバーエージェントだが、社長である著者にはどうしてもメディア事業を成功させる必要があった。グーグルやヤフーの例で見ることができるように収益性が高いからである。

そこに目をつけたのは著者だけではなく、ライブドアのホリエモンも同じであった。ライブドアが日本放送を買収しようとした際の描写とその時の著者の思いの描写もあった。本書では頻繁にホリエモンが登場するが、時に彼らは友人で、時に彼らは仕事のパートナーである。二人の経営姿勢の違いやホリエモンとのエピソードは興味深い。

しかし、ライブドアが注目を集め、またライブドアの売り上げが上がって行くにつれ、著者はホリエモンに対して嫉妬を感じ始める。このように、本書は著者の気持ちが率直に綴られている。そこがいいのである。

著者はホリエモンの頭の良さを絶賛していたが、著者自身もまた非凡であった。バイトで働いていた広告代理店の限界を感じる様子や、時代の先を読む感覚なんかはすごい。また、売り上げを追うことに周囲が焦る中で、著者一人が我慢強く辛抱していたのも印象的だ。

一見華やかさそうな著者だが、本書で描かれているのは苦悩しまくる姿である。アメーバブログの成功は、著者が全精力を注いだ結晶である。普段は部下に任せる方針の著者が、この事業だけは独断で実行していく姿があった。なにせ自分の進退をかけてこのブログの成功を目指していたのである。1人の優秀なリーダーは、民主制に勝ることがある気がした。

「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」

サイバーエージェントと言えば、今はアベマTVである。私もほぼ毎日見ていて、著者が麻雀を打つ姿も頻繁に目にする。上場企業の社長がプロの雀士を相手に健闘する姿がおかしい。麻雀を打つ合間に経営をしているのか、経営の合間に麻雀を打っていのかは謎である。

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉 (幻冬舎文庫)

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉 (幻冬舎文庫)

 

 本書では上場前後の様子が綴られている。この中でも著者は苦しんでいた。