本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『杉村太郎、愛とその死』『TOEICテスト900点TOEFLテスト250点への王道』『アツイコトバ』『絶対内定』他

 

杉村太郎、愛とその死

杉村太郎、愛とその死

 

本書は故杉村太郎の妻であった著者が、彼との出会いから癌によって亡くなるまでを回想したもの。杉村太郎の本はいくつか読んでいて、随分魅力的な人だと思っていたが、本書はその思いを一層強くしてくれた。平易な言葉で綴られているので前へ前へと読み進めることができ、それでいて感動的な本である。

二人の出会いはとても劇的で、「運命的」という言葉で形容しても足りないくらいである。著者が「彼とはいつか結婚する」と感じたまさにその瞬間に、杉村太郎は著者のその思いを感じ取っていたという。彼自身も著者との出会いを運命だと感じていたのだ。その後の著者に対するクイックなアプローチには脱帽である。

このように彼の感覚は信じられないくらいにクリアであった。後に癌になったときにも、体調の変化から癌の転移に気づくことがあったという。原稿を書く為に頭をクリアにしておきたいからと酒もあまり飲まなかったようだ。神経を研ぎすませて生きていたのだろうか。

結婚後、太郎はハーバード大学のケネディスクールに留学する。その時の猛勉強の様子も綴られていて、「やるなら世界一」という彼のモットーを実践する真剣な姿が垣間みれた。

しかしアメリカ留学を終えると、原発不明癌であることが判明。病と戦いながらも必死に生きる姿は勇気を与えてくれる。病になっても文句を言わず、人を助け、世の中を変えたいという思いは変わらなかった。むしろ、時間が限られた分だけに一層凄みが増した感さえあった。

病院にいるときでも入院している患者を思いやり、ナースに笑顔をもたらし、病院の雰囲気を明るくする。自分が癌であるにも拘らず、病気の母へ臓器を提供するのだと人を思いやる気持ちはどこまでも深い。著者と娘と息子に対する深い愛情は、家族の素晴らしさを伝えている。

前向きで、優しいだけでなく、熱い男でもあった。その熱さは見ていて清々しくもあるのだが、可笑しくもあった。彼がある研究機関に入るために面接を受けたシーンの描写があるのだが、それがあまりにも可笑しくて嘘みたいな人である。

原稿を書き終え今日から新しい治療を開始しようとするその日に彼は倒れ、帰らぬ人となった。闘病生活は7年にも及んだ。まだ47歳であった。その訃報を聞いた時、驚き動揺したが、本書の彼の言葉で少し救われた気がした。

「やりたいことは次々と出てきてきりがないと思うけれど・・・、うん。やり残したことはない」

帯には「生きることに悩んでいるすべての人に読んでもらいたい」とあるが同感である。

ここからは、杉村太郎の本を紹介。 

TOEICテスト900点・TOEFLテスト250点への王道 (Diamond basic)

TOEICテスト900点・TOEFLテスト250点への王道 (Diamond basic)

 

杉村太郎との出会いになった本がこれ。「ハーバードケネディースクール行政大学院に入学!」の文字にインテリな感じが漂っていて、一瞬買うのを躊躇いそうになったけど買って良かった。この本を買っていなければ、『杉村太郎、愛とその死』にもたどりついていなかったかもしれない。

本書は英語学習のノウハウ本だ。著者がどの教材を使いどのようにそれを勉強したのかがこと細かく綴られている。英語の勉強をスポーツとして捉えているのが特徴だ。

それ以上に大切なのは、「気持ち」「暗記の方法論」だというのが僕の結論だ。超攻めまくるのだ。ワールドシリーズの第七戦のような本気の戦闘モードで戦うのだ。そしてスポーツのような闘いの楽しさを味わえる暗記方法で覚えるのだ(方法は2章に)。若きチャレンジャーの気分で勉強するのだ。

野球の上達を説く本ではなく、英語の上達を説く本である。そして比喩が素晴らしい。この本を素晴らしくしているのは、この比喩だと思う。もう一つ引用。

僕は、真剣になりすぎないようにわざわざ足を組んで足でビートを刻んだり、三塁の守備についてノックを待つ気分で体を左右にゆすりながらリスニングに望むようにしていた。

本書を手にした時には、まさかこんなに素晴らしい比喩が詰った本だとは思いもしなかった。本を見かけで判断してはいけないことを学んだ本だ。 

アツイ コトバ (中経の文庫)

アツイ コトバ (中経の文庫)

 

次に読んだのがこの『アツイコトバ』。既にこのブログでも書いた。社会人向けに言いたいことを言い残して置こうというのが趣旨のようだ。 

bookimpressions.hatenablog.com

絶対内定2008

絶対内定2008

 

学生に言いたいことを残して置く趣旨で書かれたのが本書だ。僕が持っているのは2008年のものなので、リンクもそれに合わせた。これは杉村が自分の遺書のつもりで書いた本だ。『杉村太郎、愛とその死』においても最後までこの本の原稿を書き続けていて、書き終えた直後に倒れてしまうのだ。

この『絶対内定』は学生の就活のための自己分析の本として有名な本だ。膨大なワークシートを使い、自分の過去を振り返り、自分の本当の夢を探す。内定は人との競争を前提にしているのだから「絶対内定」なんて存在しないと思われるが、そうでもないことを本書は教えてくれる。 

ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか (英治出版MPAシリーズ)

ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか (英治出版MPAシリーズ)

 

こちらは未読。そのおかげでこれ以上記事が長くならずに済みました。