本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

人類の宇宙に対する考察の歴史:『すごい宇宙講義』

 

すごい宇宙講義

すごい宇宙講義

 

人類がいかに宇宙を知ろうとしてきたかのを描いた本書。その過程で科学的な考え方を感じて欲しいというのが著者の狙いである。本書は一般の方に向けた講義を書籍化したもので、数式はほとんどなく、多くのイラストがありイメージを持ちやすいつくりになっている。

ブラックホールとは何なのか、宇宙はどのように始まったのか、タイムマシーンはありえるのか、アインシュタインが考えたことは何なのか、暗黒物質の正体は、といった興味深いトピックが多く刺激的である。

分かりにくいものを説明するためには分かりやすい比喩がポイントになるが、本書はその比喩が分かりやすい。ブラックホールのたとえでは、地球を今の重さのままで半径8.9mmの粒にすればブラックホールになると例え、そこからは光すらも脱出できなくなるのだ。

こうなっているのではないのかと理論を立て、その後に実験でそれを確認する。「なるようになったこうなった」と妥協する姿勢はなく、どこまでもその理を求めて多くの科学者が宇宙の謎を解き明かそうとしてきた。人間の知的好奇心の深さとでも言うのだろうか。

多くの理論が登場するが、都合が悪い部分が出て来ると新しい理論が登場しその矛盾を解決する。例えばインフレーション理論は、ビッグバン理論では説明できない部分を補うために考えだされたものだ。ちなみに、このインフレーション理論、発案者が佐藤勝彦という日本人である。

このように矛盾が出る度に新しい考えが生み出され、だんだんと真理に近づいていく様子を感じるのだが、まだまだ未知な部分は多い。宇宙空間の大部分を満たす暗黒エネルギーの正体は不明だし、大統一理論の完成もまだである。その未開な部分が多いのも魅力なのだと思う。

そんな、宇宙に行ったこともない、地面に張り付いて生きている我々が、何百億年も遠くの宇宙、そして137億年前のことまで、具体的に思いを馳せることができるって、これってすごいことだと思いませんか?