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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『読書論』

 

読書論 (岩波新書)

読書論 (岩波新書)

 

発行は1950年と古く文体も堅く、決して読みやすいとは思われないが、その主張はどこかで聞いたものが多い。主張の目新しさはそれほどなかったが、その主張を裏付けるために漱石や鴎外の文献が引用され、読んでいて刺激を受けるものだった。

何を読むかに関しては古典を勧めている。単に昔から生き残った書物という意味だけではなく、「一流の」いう意味も含めての「古典」である。要は、良い本を読めということで、そのためには無駄な本を読むなという。まったくその通りなのだが、けっこう無駄な本も読んでしまうものだ。「世の中に無駄なことなんてない」とか言いながら。

最後まで読み通すことや再読することの重要性も強調されている。古典や大著には難解のものが多いが、読み通すことで始めには理解できなかったことが後に理解できるようになることが多いという。そもそも名著は最後まで読みきらないと、真意を掴めないそうだ。初読の時には部分に捕われがちだが、再読することで全体と部分の関係も把握できるようになるという。挫折してしまった本達のことを思い出した。

本を読むだけで満足せずに、その後思索することの重要性も説かれている。このことは強く強調されていて、読んだ後に何かを書いておくというのは、利益が大きいという。だからこうして書いている。

著者が読んだ本も紹介されていて、『戦争と平和』は、著者の歴史や社会を見る目を一段階進歩させたという。こうした古典を読み、それも一度だけではなく二度、三度と読み、その上思索し、さらには書き留めよというのが著者の主張の核心と思う。

最後に引用。

本を読んで物を考えた人と、全く読書しないものとは、明らかに顔が違う。