読書記録(書評・感想)ブログ

本の感想や書評、粗筋、引用などの読書記録。1980年生まれ。

無意識の役割を教える:『あなたの人生の科学』

 

あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)

あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)

 

  

あなたの人生の科学(下)結婚・仕事・旅立ち (ハヤカワ文庫NF)

あなたの人生の科学(下)結婚・仕事・旅立ち (ハヤカワ文庫NF)

 

本書は物語形式で「無意識」がどのように働くのかを科学的に考察したものである。形式は、ルソーの『エミール』を模倣している。

二組のカップルから男の子と女の子が生まれ、その二人がどのように育ち、そしてどのように出会い、結婚し、その後の生活を送ったのかと物語は進んでいく。その中で凄まじい量の科学の知見が盛り込まれる。参照されている文献は相当の数にのぼる。引用される学者も哲学者、経済学者、物理学者、心理学者などと多彩だ。著者は科学者ではなく元々はニューヨークタイムズのコラムニストであるが、脳の働きに関心があったために本書を上梓した。

多くの実例が物語の間に挟まれる。興味深かったのは、一度上昇したストレスはそのストレス原因がなくなったあともストレスが残り続けるというもの。本書の例では、半年間、週に90時間働きストレスが上昇すると、働くのを止めた後の18ヶ月間もストレスは上昇し続けたとあった。

またどのように子育てをすればいいのかというヒントになり得るものが多く、子育ての参考にもなる。家庭で使われている語彙は子供に大きな影響を与えるとあった。家庭で使われている言葉をシャワーのように浴びて育つのだから、どのようなシャワーを浴びるのかは子供にとっては重要なのである。親子間で交わされる言葉が豊富だと、その子供のIQも高くなり、学業の成績も良い傾向があるという。

と言っても本書はIQを重視している訳ではなく、むしろ人とのつながりや人柄の方が大事だと説いている。IQが高い集団が機能不全に陥る例も物語の中にあって、IQは万能でないことを示していた。

本書を読むと無意識がいかに我々の人生に影響を与えているのかが分かる。自分が何に影響を受けているのかなんてもはや分からない感じである。大事なのは無意識と意識を協調させることだとあったが、その二つをどのように協調させればいいのかはまだ研究途中だという。そこが一番知りたいところなのに。