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個人の大切さを知る:『伊藤真の憲法入門』

 

伊藤真の憲法入門[第5版]  講義再現版

伊藤真の憲法入門[第5版] 講義再現版

 

本書は、分かりやすい憲法の入門書。著者は司法試験界のカリスマ、伊藤眞。

憲法は国家権力の行使を制限して、国民の自由を守るものである。通常の法律が国民の自由を制限するのに対して、憲法はその法律を作る側の人間を制限する。憲法は国の最高法規であり、他の法律よりも上位に位置する法規範である。だから、憲法に反する法律は作れないし、それに反する法律があれば裁判所が違憲無効とすることもある。

この憲法が最も大事にしているものが、個人の尊厳である。ひとりひとりを大切に扱おうということである。憲法の前半には多くの人権規定が置かれている。後半には国会、内閣、裁判所、地方自治などの統治機構に関する条文があるが、これはその人権を守るための手段と位置づけられる。

近代憲法では、こうした個人を重視する考えが基本となっている。そのきっかけは、イギリスの名誉革命であり、その後のフランス革命である。それまでは法による支配ではなく、人による支配であった。言わば国王のやりたい放題であった。それを勇敢な市民が立ち上がり、血を流しながらも人権を獲得した歴史があるのである。

この個人の自由を重んじる立ち場が自由主義である。そして、この自由主義を守る手段となるのが民主主義(国民主権)である。個人が最も大切であるのならば、その一人一人の個人から国家の意思を形成していくのが、その目的を達成するのに資するという発想である。

この自由(人権)が保証されているが故に、こうしてブログを書くことも出来る(憲法21条参照)。けれど、人権にも限界があり、ブログを書く自由も絶対無制限とはならない。ただし、この人権を制限できるのも、他の人権と衝突するときに限られる。個人を最も重んじるのだから、それを唯一制限できるのもまた他の個人でしかありえないのである。だから、僕がこのブログで他人の名誉を傷つけるようなことはできないのだ。当たり前のことだけれど。

このように本書を読むと憲法がいかに個人を大切に扱おうとしているのかが分かる。ニュースを見る時の視点も変わるかもしれない。「今の政治は立憲主義に基づいていない」などと一端のことをブログに書いてしまいそうだ。