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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

フィリピンにまつわるノンフィクション2冊:『日本を捨てた男たち』『檻の中の闇』

フィリピンに関するノンフィクションを2冊読んだ。 

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」 (集英社文庫)

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」 (集英社文庫)

 

本書はフィリピンで記者をする邦人ライターがフィリピンにいる日本人を追ったノンフィクションである。彼らがどうしてフィリピンにやってきたのか、フィリピンでどのように過ごしているのか、日本にいたときの彼らの様子が描写されていく。

その多くは日本でフィリピン女性と関わりを持ち、幸せを求めてこの国にやってくる。しかし、期待は裏切られ、貧困に陥り、幸せからは遠のいていく。フィリピンで貧しく過ごす彼らが日本に戻らないのは、お金がないことだけが理由ではない。日本に戻っても居場所がないのだ。だったら、人も優しく、温暖な彼の地で過ごした方がいいという現実的な判断があるのだ。心の貧しさを埋めるためにフィリピン人女性と出会い、フィリピンへ飛び立つも、思うようにいかない現実を映し出す。 

檻の中の闇―フィリピンで死刑囚になった日本人の獄中記

檻の中の闇―フィリピンで死刑囚になった日本人の獄中記

 

本書はフィリピンで薬物不法所持で逮捕された著者が、その刑務所内での様子を綴ったもの。本書は、モンテンルパという刑務所の房内で書かれた。

薬物不法所持で死刑になるという法律も恐ろしいが、何よりも恐ろしいのはそれが冤罪の可能性が高いということだ。離陸前に唐突に物を渡されそれを所持していたら、空港のセキュリティにひっかかり、あっさりと逮捕。言葉も分からないままに調書にサインをしたものだから、事態は最悪の方向へ。すぐに釈放されると思っていた著者が得た判決は極刑である死刑。カイジで言うならば、「こんなひでえことってありえるのか」状態である。

本書の多くを占めるのはフィリピンの刑務所内の様子である。日本のそれとはあまりにも違う。懲役刑ではないので、囚人が作業を行うことはない。やることは、刑務所内をぶらぶらするだけである。自由と言えば聞こえがいいが自由すぎるのだ。プリズンブレイクで出てきた中米の刑務所のような感じ。喧嘩もあれば、殺人までもある。

刑務所内は、自由主義経済で階級社会である。中で商売も出来るが、自分の物は自分自身で用意しなければならない。富める者はますます富み、貧しいものはとことん貧しい。こんな地獄のような所での著者の立ち回り方が同情を誘うけれど、その一方で「人間はどんな環境にも適合できる」と感じた。