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本読みのはしくれ

本の感想や書評、本の案内ブログです。このブログは1980年生まれの男によって書かれています(受動態)。

分かりやすい新約聖書解説:『新約聖書を知っていますか』

 

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

 

本書は阿刀田高による新約聖書の分かりやすい解説書だ。著者の言葉で言えば、新約聖書のダイジェスト風エッセイである。本書を読めば、充分に新約聖書の雰囲気がつかめる。後の世にこれだけインパクトを与えた書物の内容は、知っておいて損はないのではないか。歴史、文学、芸術、音楽にとその影響力は絶大である。これ以上の古典はないくらいだ。

イエス・キリストがどのような経緯でどのような血筋の元で生まれたのか、洗礼を受けた後の活動、数々の奇蹟、そしてその死と復活、その後の弟子達による普及活動などが叙述されていく。彼の生涯は33年ぐらいと短いのだが、何をしているのかが不明な時期もあるという。一体何をしていたのだろう。

新約聖書は、キリストの言動が記された4つの福音書が中心である。この4つの福音書を初めて読んだとき、内容が被っていることに驚いたものだ。もちろんディテールは違うのだけど、一つじゃだめなのかと思った。

この福音書のモチーフは、イエス・キリストが神の子であることを伝えるフィクションであるという。フィクションだから誇張もあるのだが、神の存在を信じさせるためには必要なことだったようだ。

よって、キリストが起こした奇蹟も一つの比喩であり、彼の偉大さを伝えるためのものだという。物理的にはありえないことも実際はこうであったのではという推測がなされていて興味深い。

こうした古典を読む場合、分かりやすい解説書から読むといいのだが、時にその解説書でさえも難しいことがある。けれど、本書は分かりやすくて良書である。