本読み

読書記録。1980年生まれ/男

分かりやすい旧約聖書解説:『旧約聖書を知っていますか』

 

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

 

本書は阿刀田高による旧約聖書の分かりやすい解説書だ。著者の言葉で言えば、旧約聖書のダイジェスト風エッセイである。本書を読めば、充分に旧約聖書の雰囲気がつかめる。後の世にこれだけインパクトを与えた書物の内容は、知っておいて損はないのではないか。歴史、文学、芸術、音楽にとその影響力は絶大である。これ以上の古典はないくらいだ。

著者は、宗教を信じていない。信仰を持たない目から見るとこれはおかしいということも素直に記されている。

旧約聖書と言えば、アダムとイブ、ノアの箱船、バベルの塔、モーセの十戒、ダビデ、ソロモンなんかが有名だ。もちろん、本書で全部網羅されている。ただし、説明においては、年代順になっていない。著者は、旧約聖書のアブラハム以降をイスラエルの歴史ととらえ、それ以前を神話と捉えている。本書では、そのイスラエルの歴史の説明が先に来ている。この方が、旧約聖書を理解するのに適しているとの判断である。

知らなかったことがある。イスラエルの民族は、神にとってイスラエルの民を民族の長子と捉えていることだ。言わば、他の民族よりも優先されるだけであって、神にとっては、他の民族のことも考えてくれているのである。実際に他の民族を慮る記述もあった。「皆のことも考えているけど、後回しだよー」ということみたい。

それでもこの神様は厳しい。とりわけ、信じないものには情け容赦がない。求められているのは、ただひたすらに神様を信じ、その信じること自体が喜びになることである。それで得をするかとか、天国へ行けるかなどとは、考えてはいけないのである。信仰への道は厳しい。

解説の合間にはエピソードが挟まれのだが、そのセンスが良く、作家としてのポテンシャルを感じた。著者の本を読むののはこれが初めてだったが、他のエッセイや小説も読んで見たくなった。この旧約聖書の解説の他にも、新約聖書、ギリシア神話、シェイクスピア、イソップ物語、コーラン、源氏物語等の古典の解説書も書いている。

次は、『新約聖書を知っていますか』を書く予定だが、冒頭の1段落は、今回のエントリーの「旧約聖書」の部分を「新約聖書」に変えるだけなので、書き出しに悩むことはなさそうだ。