本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『困ってる人』

 

困ってるひと (ポプラ文庫)

困ってるひと (ポプラ文庫)

 

著者は、読売新聞でコラムを書いています。なので、著者のことは知っていました。しかし、こんなにもすさまじい病気を経験していたとは本書を読むまで知りませんでした。本書は、その著者の闘病記です。

原因不明の病気にかかった著者は、やっとのことで一つの病院を見つけそこに入院することになります。その病院で優しい主治医の先生(あだ名はクマ)と共に病気と闘います。何度も繰り返される壮絶な治療シーンは、健康であることのありがたさを思い出させてくれます。それでも一向に様態はよくなりません。むしろどんどん悪化していく感じです。

著者がかかった病気の恐ろしさは、本書の半分も読めば分かります。しかし、後半においては、別の恐ろしさを知ることになります。人間の恐ろしさです。読者によっては、そこはポイントじゃないと思うかもしれませんが、僕には衝撃的でした。こちらの方が病気よりも恐ろしく感じたほどです。

上で著者の主治医の先生のことを、「優しい」と形容しました。クマという可愛らしいあだ名をつけられていたので僕も油断をしていたのですが、悪いクマだったのです。その先生がうっかり口をすべらすシーンがあるのですが、これには凍りつきました。このシーンにおいて、本書は闘病記からミステリーへとジャンルが変わってしまうのです。この後もミステリーが続いて、クマさんの本性が現れてくるのかと思いましたが、やはり本書は闘病記でした。

クマ先生の件で人間不信に陥りそうな著者を救ったのもまた人間でした。著者は恋をするのです。ここからは、「恋の力あっぱれ」という展開が続きます。そして、病気は治らないまま、近くのアパートへと引っ越すというミッションをコンプリートして本書は終わるのです。

本書で著者が奮闘する姿は感動的です。難病を隠そうとする姿勢はなく、難病になるのは誰のせいでもないということを悟っています。そして、結局は自分の足で立つしかないということに気がつき、それを実践していきます。驚くべき行動力があるのです。