本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『痕跡本のすすめ』

 

痕跡本のすすめ

痕跡本のすすめ

 

本書のキーワード「痕跡本」は著者の造語である。2008年生まれである。痕跡本とは、何かしらの記述が以前の所有者によって残された古本のことである。本の感想が書かれた本。あまたの線が引かれている本。意味不明な文字が記された本。などの本のことだ。

そこには、かつての持ち主の人生がかすかに投影されている。それを新たに手に取った古本購入者が、かつての所有者のことを大胆に想像する。するとそこには、本とは別の物語が見えてくる。つまり、古本購入者は本に書かれた物語とその裏に隠されたもう一つの物語を楽しむことができる。一挙両得である。これで古本を買うのも楽しくなりそうだ。

古本に線が引いてあると以前はがっかりしていた。またその線がとんでもないところに引いてあると「そこポイントじゃねえよ」と言いながら、その線が鉛筆であれば消していた。それが蛍光ペンであれば、呆然としていた。しかし、今ではそのトンチンカンな線もなかなかかわいいではないかと思えそうである。