本読み

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『人生に関する72章』

 

人生に関する72章 (新潮文庫)

人生に関する72章 (新潮文庫)

 

『国家の品格』でおなじみの藤原正彦。藤原は、読売新聞での人生相談の回答者を務めていた。本書は、その相談をまとめたものである。評判がよかったために、本になったのだそうだ。

個性あふれる回答がいい。常識的なことは言わない。むしろ、常識とされていることに疑問を投げかける。おとなしい性格で悩む生徒に対しては、「私はけんかの強い男の子や本ばかり読んでいるネクラな女の子、などの方に魅力を感じてしまいます」と励まし、いわゆる良い子とされる人は退屈な人にすぎないとまで言う。

そして、度々繰り返される自虐的なユーモアもいい。度々自分を引き合いに出して笑わせてくれる。
「世の中には、女性がほっておかない男性もいるようですが、私は、素晴らしく魅力的であるにもかかわらず、すべての女性にほっておかれたのです」と言うほどである。

まるで自分に非がないかのような言い回し。

解説には、藤原の妻からの相談がある。それがあまりにも面白い。妻が相談し、夫である藤原がそれに答える。それがいい夫婦漫才となっている。次の言葉は、嫉妬するべき場面で嫉妬しようとしない妻に藤原が言った言葉である。

「なぜ嫉妬しない。泣いて嫉妬しなさい」

光源氏にでもあこがれているのかしら。なんとむなしく響く言葉でしょう。