本読み

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『むなしさの心理学』

 

<むなしさ>の心理学 (講談社現代新書)

<むなしさ>の心理学 (講談社現代新書)

 

本書は前半で「むなしさ」を分析し、後半ではその対処法が書かれている。この本が出版されたのは、1997年。よって、本書の「むなしさ分析」は当時の社会におけるそれである。しかし、そのむなしさは今の社会にもあてはまるだろうし、もしかしたらその傾向はますます強くなっているかもしれない。なので今この本を読んでも特別に違和感を感じることはない。「あーわかるー」と何度か心の中でつぶやいた。

いくつか面白い考え方が出てきた。例えば、幸福のパラドックスというもの。我々の欲望にはきりがないから、そういう欲望を追いかけてしまうといつまでたっても心の底から満たされることはないという。

ではどうすればいいのか。著者はこう説明する。

ただ幸せになろう、幸福を手に入れようというこだわりを捨てて、なすべきことに取り組むがいい。そうしているうちに然るべき時が来れば、自ずと幸福は手に入るはずだ。

そして続けて、心理学者のフランクルの言葉を加える。

「もし幸福になる理由が存在すれば、自ずと、つまり自然発生的かつ自動的に、幸福は結果として生まれてくる。このことが、人間が幸福を追求する必要のないことの理由である」

要するに幸せを追い求めても追いつかないし、それをやると余計に幸せは遠のいていくということらしい。さらに言い換えると、幸せはそっとしておこうということだ。

むなしいと感じている人が本書を読めば、立ち直るヒントが得られるかもしれない。上で紹介したほかにも、気持ちを穏やかにしてくれる考え方が示されている。とりわけ6章は壮絶である。スケールが大きいのだ。6章のタイトルは「むなしさを超える心理学(2)トランスパーソナル心理学で『宇宙の中の自分』を感じる」である。

しかし、むなしさを感じているならば、先日紹介した『ワセダ三畳青春期』を読むのがいいと思う。さらにむなしさを感じてしまうかもしれないけれど、いいほうに転がれば、むなしさはチャンジ精神にとって変わられる可能性がある。