本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『ワセダ三畳青春記』

 

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

 

読む前に、パラパラとページをめくってみた。面白そうだなと思った。そして、実際に読んでみた。予想は裏切られた。面白すぎたのだ。たまらなく面白い。

著者は早稲田大学の探検部にいた。本書は、その著者が3畳のアパートでの暮らしを綴ったものである。著者は、22歳から10年以上もその狭いスペースで生活した。その中で起こる幾多の珍事が笑わせてくれる。著者が変わり者ならば、そこに集まる人も同じく変わり者である。そして次から次へと事件は起こる。それも信じられないような次元の事件である。それを著者が巧みに描写している。

探検部の著者の行動は大胆そのもの。ダイナミックである。アフリカに3ヶ月行って来たなどというセリフがあっけらかんと出てくる。そのアフリカの話詳しく聞かせろやと思うも、アフリカの話はそれでおしまい(笑)。タイには一年滞在する。さらには、人体実験を行ったりもする。著者を芸人に例えると、ダチョウ倶楽部である。無茶するタイプである。「押すなよ。押すなよ。絶対に押すなよ」と著者に言っても、著者は押してしまうだろう。早稲田の探検部は、野球部やラグビー部と同じように輝かしいところのようだ。

狭いアパートに住むくらいであるから、著者は貧しい。しかし、そういう暗さは微塵も感じない。むしろその貧しさを楽しんでいる。仲間どおしが集まって馬鹿なことをして笑いころげる姿はまさに青春である。青春を謳歌するのにお金は無関係だ。著者は労働を嫌うが、そこは憎めない。著者が仕事人間であったならば、この本も存在しなかっただろう。この本が存在しなければ、僕の読書ライフも、本書が欠けたぶんだけ貧しくなっていたはずだ。

読んでいて何度となく声に出して笑ったのだが、最終章はトーンが異なる。この章は著者の恋の物語である。前半のはちゃめちゃさとのコントラストがこの章を際立たせる。恋に落ちた女性に言った著者の口説き文句は、読んでのお楽しみである。

最後に、本書に出てきたうつ病気味の人のセリフを引用。そのセリフがこの本を読んだ僕の感想にあまりにも合致するのだ。

「ここ何ヶ月でこんなに心から笑えたのは初めてですよ」

うつ病の人をしてこう言わしめるエピソードが本書にはある。