本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『コンニャク屋漂流記』

 

コンニャク屋漂流記 (文春文庫)

コンニャク屋漂流記 (文春文庫)

 

本書を読もうと思ったのは、作者によるところが大きい。似た内容の本を見つけても、他の作者であったならばこれほどまでに興味をもたなかったかもしれない。僕は、著者のファンである。年季の入ったファンではなく、ファンになって一年ほどのファンである。

特に最近、著者を読売新聞の中で見かける。そのペースは異常なくらい。あるときには、広告で。あるときには、著者のインタビューで。あるときには、本書について書かれた記事で。土曜日には、本書が読売文学賞を受賞したことが社会面に載っていた。さらに、日曜日には著者が書いた書評を読んだ。大活躍!

読売文学賞の授賞式で、「紅白歌合戦に出場が決まった売れない歌手みたいに、喜び半分、これからどうしようという気持ち半分。今後も前向きな庶民を見つめたい」と言うように、本書でも多くの前向きな人が登場する。著者のルーツ探しだけに、登場する人物はその親戚が多い。しかも親戚の数は多く、本書の冒頭では家系図まで記されている。読者はそれを参照しながら読み進めることになる。一般家庭の家系図を見るという珍しい体験をするわけである。

他の著者の本でも見られるとおり、著者は好奇心旺盛、行動力抜群である。その特質は、本書でも発揮されている。というより、好奇心と行動力がなくてはこのようなことは出来ないと思う。著者の祖父を基点に自分の祖先はどうなっているのかを探していく。祖父は、千葉の外房で漁師の家に生まれたが、東京で工場を始める。その孫である著者は自分のルーツはどうなっているのかと徹底的に調べていく。時には、私の先祖はこうではないのかという仮説を立て、自分の先祖を追い込んでいく。それはそれは、探偵のようであった。僕も読みながら自分の祖先を調べてみようと思ったが、思っただけである。

本書もいいけれど、著者の他の作品も素晴らしい。特にこの二つはすごい。 

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)

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謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

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