本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『Dear Kazu 僕を育てた55通の手紙』

 

Dear KAZU 僕を育てた55通の手紙

Dear KAZU 僕を育てた55通の手紙

 

カズへの手紙が55通。そしてそれに対してカズが返事をするという形で本書は構成されている。ペレやジーコといった誰もが知っている大物からの手紙もあれば、本書で初めて名前を知る人からの手紙もある。1年しかいなかったイタリアの友人からの手紙もある。交友が幅広いのはキングならば当然である。

ブラジル時代の日本に対する思い。ワールドカップへの思い。ヴェルディのこと。一緒にプレーをした選手への思い。セリエA挑戦のこと。フランスワールドカップでのメンバー落選のこと。パープルサンガでの充実した日々。J2のこと。息子達のこと。などと手紙のやりとりだけで、カズの歩んできた道を振り返ることができる。

とりわけ印象に残るのは、ブラジルにおけるカズの存在の大きさである。たびたびブラジル人からの手紙があり、その内容からはブラジルでカズが認められていたことが分かる。ブラジルでのカズがどうだったのかはほとんど知らないので、意外なカズを知ることができる。

また、カズへの手紙の中で送り手の性格が見えてくるのは面白い。あるイタリア人の送った手紙はとてもロマンチックだ。また、ある女性が書いた手紙からは、ユーモアが見える。そして、驚くのがジーコ。他の人とはテイストが違っている。空気を読まない内容となっている。もちろん、それらに答えるカズからもカズの性格が垣間見える。「文は人なり」である。

そして、最後にはカズがブラジル時代に日本にいる母へと書いた手紙がある。しかも直筆である。まだ幼さの残る文章を読むとなぜだか感動がこみ上げてくる。ブラジルという遠く離れたところで、サッカー選手になるという途方もない夢を追う少年の無謀さと勇敢さに心を動かされる。

本書を読むと、カズは日本サッカーのパイオニアであることが分かる。日本のサッカーを先頭に立って引っ張ってきた人である。ゆえに、「キング」と呼ばれても違和感がないのだろう。