本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『日本男児』

 

日本男児

日本男児

 

長友がどういった過程で今の長友になったのかが綴られている。小学校でサッカーを始めたことから、今期(2010-2011)のチャンピョンズリーグまでの軌跡が描かれている。前書きにおいて、本をだすのはまだ早いかな、とためらいを見せている。しかし、決してそんなことはないと思う。良い本は、なるべく早く世に送り出したほうがいいでしょう。

読んでみると中沢の『不屈』を読んだ時と同じことを感じた。二つある。ひとつは、教科書に載せたらどうなの?ということだ。それほどに素晴らしい。まあ、それは無理としても中高生にはこういう本を読んでほしい。自分が中高生の時に読めたらどんなに良かっただろうにと思う。

もうひとつは、両書とも良書であるのだが、途中までが良書なのだ。途中までは感動すらするのだが、プロになったあたりからはインパクトが弱くなる。これはなぜかというと注目を浴び始めてからのことはある程度知ってしまっているからであろう。中沢の本もそうだが、長友の場合もプロになるまでの過程がみどころである。

では、何がそんなに素晴らしいのか。それは、彼の努力する姿勢である。これだけでも感動できるところなのに、そこに彼の「母への思い」が加わるのである。彼の両親は離婚しており、長友の母は一人で子供3人を育てている。それも3人を大学へ行かすのだ。読んでいくと、随所に早く母を楽にしてあげたいという彼の思いが出てくる。

高校では親元を離れ名門の東福岡へと進む。そこでも長友は、必死で頑張る。授業中に寝てしまう高校生がこのセリフを読んだらどう思うだろうか。

ハードな練習をしている運動部の生徒が授業中に寝ることは特別なことではなかったし、僕の教室でも寝ているクラスメイトはいた。でも、僕は絶対に寝ないで頑張った。母さんが必死で働いて授業料を支払ってくれている。そう思うと、寝ることなんて出来なかった。

キャプテン翼の日向小次郎を現実にした感じである。

そして、一体どれだけの人が、高校を卒業をして次のように言えるだろうか。

3年間、サッカー選手、アスリートとしてだけじゃなく、人間としても成長出来たという確信があった。精神的にも大人になり、強くなれた。

サッカー選手になるためのマニュアル本なんて存在しないはずだが、この本はそれになりうるのではと疑ってしまう。とりわけ、何かを目指している若い人が読めば良い刺激になるだろうし、そうでない人も本書を読めば目が覚めるかもしれない。そして、僕のようになんとなく学生時代を過ごした人は、当時の自分を恨めしく感じることができる。もちろん、嫌な感じだ。