読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

本読みのはしくれ

本の感想や書評、本の案内ブログです。このブログは1980年生まれの男によって書かれています(受動態)。

『「アメリカ社会」入門』

社会の本

 

「アメリカ社会」入門―英国人ニューヨークに住む (生活人新書)

「アメリカ社会」入門―英国人ニューヨークに住む (生活人新書)

 

イギリス人から見たアメリカ社会の考察である。著者は以前、日本に15年も住んでいた。その後にニューヨークに2年住み、そして本書を書いた。本書はイギリスで出版した本を翻訳したものではなく、日本で出版するために書かれている。だからというわけでもないが、日本についての考察も時折見られる。

アメリカとイギリスの差は、日本とイギリスとの差に比べれば小さいと思われるかもしれないが、著者はそれを否定する。アメリカに違和感を感じまくりなのだ。そして、イギリスとアメリカを比べては、イギリスの方がよくないかということをちらつかせる。

まずはユーモアについての章。イギリス人の方がユーモアのセンスはあるに決まっていると思っている著者。ところが、アメリカ人のユーモアもなかなか面白いと言って、讃えている。それでも、イギリスの方が上であると著者は信じている。ここは、あまり説得力がなかった。アメリカのコメディドラマを見るとアメリカの方がセンスあるのではと思ってしまうのだ。

スポーツについての章では、アメリカのスポーツは、どれもマイナーであると主張。それに比べてイギリスのスポーツは世界中に広まっていると主張。フットボールしかり、ラグビーしかり、クリケットしかりである。これには、納得である。これからは「サッカー」ではなく、「フットボール」と呼ぶことを固く誓った。

また、そのサッカーはアメリカではマイナーなはずなのに、実力は脅威的であるとさえ言っている。このところの表現は実に愉快かつ適切であり、何度も読み返すことになりそう。アメリカ英語とイギリス英語の違いの章もある。英語に興味がない読者は退屈するところだ。英語に興味がある僕ですら退屈したほどだ。

そして、最後の章が可笑しい。ここへ来て初めてアメリカを批判するかのような前置きをして、アメリカに対する違和感をストーレートに表している。まるで、今までは批判することを抑えていたかのようなフレーズ。既に散々言いたいことを言ってきたにもかかわらず、こういうセリフを吐くのだ。それも気取った言い方で。

ただ、著者が感じるその違和感には同意できるものばかりである。本書を読むと、アメリカはすごいストレス社会だということが感じられる。そこで生き抜くためには、あの明るさや、根拠のない自信が必要なのかもしれない。これがない人にとっては、住みにくいところだと思う。