読書記録(書評・感想)ブログ

本の感想や書評、粗筋、引用を自由に書く読書記録。1980年生まれ。

『努力しないで作家になる方法』

 

努力しないで作家になる方法 (光文社文庫)

努力しないで作家になる方法 (光文社文庫)

 

この本のタイトルを見て、一体誰がこの本を小説だと思えるだろうか。僕なんて、「随分思いきったマニュアル本のタイトルをつけたな」と関心したくらいである。しかし、これは小説なのだ。自分の体験を下に綴った小説である。そのことがこの小説をより一層面白くしている。 

さて、本書が小説と分かればこの小説のメインの粗筋は見えてくる。そう、これは著者(主人公)が作家になるまでの物語なのである。 作家になるまでの壮絶の過程が描かれている。「努力しないで作家になる方法」というタイトルとは裏腹に、主人公はすごい努力をしているように見える。

仕事の合間を縫って小説を書き続ける。何度も繰り返される、投稿と落選。そして、落胆。あるときは、キッパリと夢をあきらめる。そして、復帰。

自分が本気で作家をめざしていないことに気がついたのは、作家を目指し始めてから10年後。ようやく、作家になれるものかと期待が高まるが、またも繰り返される投稿と落選。そして、落胆。

話はいよいよ終盤に近づき、ついに作家デビューが決まる。本気になってからさらに6年が経過していた。感情は完全に移入していたので、こちらまでにんまり。本書の中の言葉を文字れば、「僕を半日ニヤニヤさせた」感じである。本を出すことが決まる瞬間の楽しみは、読んでのお楽しみである。ここで説明したら、卵かなにかを投げられるだろう。

作家を目指す人が本書を読めば俄然やる気になるだろうし、そうでない人にもあきらめないことの大切さを教えてくれる。小説で自己啓発できるのだ。そして、何より面白くここちよい読後感が得られるのがいい。