本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『シモネッタのデカメロン』

 

シモネッタのデカメロン―イタリア的恋愛のススメ (文春文庫)

シモネッタのデカメロン―イタリア的恋愛のススメ (文春文庫)

 

一言で言うと、本書はイタリア語通訳者がみたイタリア人観察記録である。イタリアといえばカルチョの国。だからと言ってサッカーの話を期待してはいけない。著者は女性である。フットボールのフの字も出てこない。あるのは男女の話だけ。

昨今あちこちで聞く日本人男性を揶揄する草食系男子という言葉。それとは対極にあるイタリア人男性。本書ではその伊達男達に光が当てられている。草食系のあなたにはまぶしすぎて直視できないかもしれない。

イタリア人は、二日酔いするほどお酒を飲まないという。酔いつぶれては女性と楽しむことができないのがその理由だ。異性のことになると、まるで自分のことをプロのアスリートと考えているかのようだ。ビールを一滴も飲まないというボンバー中沢を思い出したくらいだ。

日本では女性に対するセクハラは厳禁だが、イタリアではセクハラをしないことが逆にセクハラになるのだという。信じられない。僕らのセクハラの定義は天動説だったのか。いや、イタリア人のそれこそが天動説に違いない。僕は思う。「それでもセクハラは厳禁だ」と。

そんなイタリア人とつきあう通訳者である著者も、とばっちりを食うのだが、そこは著者の偉大なところ。自らを笑い飛ばしている。ユーモアの分かる人だ。米原万里は自らの書評集の中で、著者のことを次のように形容している。

田丸公美子は日本のイタリア語通訳界に君臨する名通訳。後に続く大関、小結無しのブッチギリの大横綱にして、わが親友でもある。シモネッタなる渾名を授けたのは私で、口を開けば次から次と泉の如く下半身ネタが湧きでてくるからだ。

イタリア語通訳をしたおかげでこのようなパーソナリティーになったのか、元々の性格なのかは不明だが、著者が面白いのは確実である。そして、もちろん本書も。