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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『リスクにあなたは騙される 「恐怖を操る論理」』

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理
著者:ダン・ガードナー
販売元:早川書房
(2009-05-22)
販売元:Amazon.co.jp
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リスクについて冷静に判断をしましょうというのが本書の趣旨である。次から次へと例を出し、あなたのリスク判断がいかに誤解に基づくものであるのかを説明していく。

判断をするのは、もちろん脳である。その脳は一つではなく二つのシステムを有しているという。理性に基づく思考と感情に基づくそれである。理性に基づく思考は、スピードが遅く、証拠を調べたりと丁寧である。一方、感情の思考は無意識に働き、かつそのスピードも速い。ゆえに感情に基づく思考は便利である。しかし、不合理になりやすいので、理性の思考と併用することが重要である。感情だけで判断をすると間違った判断になるという例は本書にたくさん出てくる。

例えば、

ボールとバットで合わせて1ドル10セントする。バットはボールよりも1ドル高い。ボールはいくらか?

という問題がある。これをとっさに1ドルと判断してしまうのが、感情に基づく思考である。僕も1ドルだと思い、1ドルでファイナルアンサーをした。続く文章を見ると、1ドルが答えではないという。もっとよく考えてみても1ドルだと思ったままであった。誤植さえ疑った。冷静になってみてようやく理解できた。答えは、5セントである。

このことからも分かるように、人はいつも真剣に考えているわけではないという。すぐに心に浮かぶ判断を信用して満足しているだけに過ぎないのだそうだ。

また、わたしたちが不安になり、判断を誤る原因としてメディアの責任を上げている。メディアというのは、世間を安心させると金儲けの機会が得られない。そこで恐怖を助長することになる。その結果、我々がいかに安全な社会に住んでいるのかという報道はされないのだ。困ったものだ。

11章では(本書は全部で12章)テロの恐怖についての誤解を解いてくれる。テロリストに核兵器が渡る可能性は低く、それが実際に使われる可能性も低いという。さらに、たとえアメリカの都市に核兵器が落ちても、数値で見れば慌てることではないとまで言う。ちなみに、この章では、しばしばオウム真理教がテロリストの例として取り上げられている。

我々の判断が頼りなく、かつメディアも信用できないということが本書を読むと確認できる。メディアの情報を鵜呑みにせず、自分で考えることが必要だと改めて思った。