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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『趣味は読書。』

 

趣味は読書。 (ちくま文庫)

趣味は読書。 (ちくま文庫)

 

「ベストセラーはくだらないものと相場が決まっている」というようなことを聞いたことがある。もしそれが正しいのなら、ベストセラーを読むのは損ではないか。しかし、流行っているものの内容ぐらいは知っておきたいのが人情というもの。 そんなベストセラーをあなたの変わりに読んであげますというのが本書である。

本書は2003年のものなので、この本に出てくるベストセラーも当然それ以前のものである。「老いてこそ人生」「鉄道員」「五体不満足」といった本である。本を読まない人でも名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。僕は、その当時ほとんど読書をしていない。なので、この本で当時のベストセラー本を一気に復習しようと思ったのだ。

著者は、斉藤美奈子。やんちゃが売りである。思ったことをずばずばと言う姿勢は、見ていてすがすがしいのだが、時には僕を傷つけにくる。前書きにおいて、読者のタイプを分類している。僕は、どうやら「読書依存症」に分類されるようだ。そういう人に対して、


頼まれもしないのにネットで読書日記を公開したりする。

と酷評する。

うるさあああああい。ほっといてくれ。まさに「趣味は、読書」なのだから。

もちろんベストセラー本に対しても遠慮なく書評をしていく。中でも傑作だったのが、『朗読者』というB.シュリンクの小説である。主人公の男に対して大変腹を立てている。この小説の粗筋を的確に説明しているので、小説の内容が分かると同時に、面白そうに見えてくる。それでも、著者はご立腹なのだ。最後には、この本を「包茎文学」だと形容し、これを読みたがる人を軽く見下している。ここでもまた、読む気満々になっている僕を傷つけにくる。

しかし、くやしいけれど面白いのだ。おもしろきこともなきベストセラーを面白くするのは、その人の心ではなく、斉藤の書評であったようだ。