本読み

読書記録。1980年生まれ/男

『養老院より大学院』

 

養老院より大学院 (講談社文庫)

養老院より大学院 (講談社文庫)

 

横綱審査委員のメンバーとしての内館牧子には注目していたが、作家としてはノーマークであった。そこで今回読んでみることにした。54歳にして大学院に入り、そこでのキャンパス生活が本書では描かれている。

入学したのは、東北大学の大学院である。入学動機は、相撲の研究をするためである。「そうまでして、あなたは・・・」と突っ込みたくもなるのだが、そこはそっとしておこう。

文章は上手くスイスイと読める。そのおかげで、とんでもないフレーズが出てきても思わずスルーをしてしまうところであった。なんと、途中で、なんの前兆もなしに、相撲部の監督に就任していることに言及するのだ。 本来ならば、「これこれこういった事情があって相撲部の監督になった」と説明をするのが筋だと思うのだけれど、彼女の場合は例外のようだ。監督になることが当たり前であるかのように話は進んでいく。

周りの若い学生との関係も描写されている。これまた面白い。自分の周りにいる若い学生をつかまえて、「喜び組み」と任命し、自分はまるで女王様気分になっている。本人は、実に楽しそうだ。それでも学業のほうは、しっかりとやっていた。

本書を読むと、大学院というところがどういうところなのかが分かる。彼女の描写のせいか、本当に楽しそうなところに見える。僕も、次に行くなら東北大へと思ってしまうくらいだ。学生としてではなくとも、観光として仙台へ行きたくなった。高校生が読めば大学にさらなるあこがれを持ち、社会人が読めば再び大学に行きたくなるような、そんな本である。