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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『ヒトのオスは飼わないの?』

 

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)

 

ヒトのオスは飼わないけれど、動物は飼いまくる米原のエッセイである。米原と猫と犬の日常生活が綴られている。猫はこんなにも人間のことを理解できるものなのかと驚いた。夏目漱石は猫の視点で小説を書いたが、それも満更ではないなと思わせるものがある。猫好きには、たまらないエッセイだと思う。猫を好きでない僕でさえも、猫もなかなか可愛いではないかと思ったほどだ。 

エッセイの中で米原は、何度か新しい犬や猫を飼い始める。その度に、猫や犬達には新しい仲間との出会いがある。その出会いのたびに動物達の心の動きがあるのだが、それがとてもうまく描写されている。猫達の微妙な心理の変化を見逃すまいと、猫達をずっと凝視していたに違いない。そうでなくては、いつのまにか彼らの複雑な犬猫関係の発展を見逃していたことになりかねないだろう。それにしても、よくこれだけの猫と犬の心理を描写できたものだ。 

本書には、動物だけではなくもちろん生身の人間も登場してくる。その人たちがまた、魅力的なのだ。目的地へ一直線へ向かうタクシードライバー。猫と会話の出来るロシア人。有名な彫刻家で美人な妙子さん。誰もが個性的であり、一度会ってみたくなるような人たちである。最後には、米原の親友の田丸公美子が本書の解説を書いているのだが、これまた面白い。