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本読み

本の感想や書評、本の案内ブログ、かつ自身の読書記録です。1980年生まれ/男

『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』

 

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

 

ロシア語通訳者であった米原万里の本である。かなり昔の本であるが、内容は決して古くない。通訳者や翻訳者だけではなく、語学を勉強している人にもかなり参考になる。それにしても通訳者は大変である。通訳を目指している人がこの本を読めば、その夢を諦めるきっかけになりそうだ。 

通訳者は、仕事の度にその通訳の準備をする必要がある。自分が全然興味のない分野の、(それもその仕事1回きりのために)、新しく単語を覚えなくてはならないのである。仕事の度に宿題に追われた学生時代に戻らなければならないのだ。また、ある程度文化にも精通し教養も必要となる。これだけでも、通訳になろうとする人にダメージを与えると思う。 

そして、準備を整えて本番を迎えたとしても、上手くいくとは限らない。相手のいう事が聞き取れないこともあるし、間違って聞き取ってしまうこともある。相手の言いたいことは分かっても、適切な母国語が出てこないこともある。これは、本番に弱い人にはダメージだ。

そして、最も大事で基本的なことではあるが、通訳者になるには、一つの言葉をある程度マスターしなければならないということ。これが最大の障壁だろう。しかし、本書ではこのことにはあまり触れていない。本書は、通訳が出来るくらいの力があっても、通訳をするということがいかに大変かということの説明に力点が置かれている。 しかし、通訳を一度始めたら決して止められない職業だと言う。これは彼女に限らず多くの通訳者が感じることだそうだ。